「お互いに、夢を持って、ちゃんとした大人になるまでそれぞれに頑張れって。
そして、十分に自分を成長させて、いつか俺たちが偶然に再会できるような奇跡が起こったら、それはもう二度と離れられない運命だから。
その時は何も言わないし反対しないって、伊織の兄貴に言われたんだよ」
「それも聞いた。兄貴が暁の将来の事を考えて、海外への留学を諦めないように説得したって。
せっかくの才能を無駄にするのはもったいないし、一時の感情で人生を棒に振るなって、何度も諭して、ようやく受け入れたって事も聞いた。
確かにあの時、私は悲しみに押しつぶされてどうしようもなかった。
何がいいのか悪いのかも判断できないし、自分が生きている事が正しいのかもわからなかった。
そんな私に代わって、兄さんが暁を海外に行かせてくれた事は良かったんだと思う。
それに、私と暁が一旦離れてそれぞれに強くならなきゃいけなかったのも、わかる。
……でも、それでも、暁の側にいたかった。
ずっと暁の体温を感じていたかった。
暁がいなくなって、正気に返った私は、暁に会いたいって、それだけだった」
「……ごめん」
低く苦しみに震える声が落とされたと思うと、私の体は暁に抱き寄せられて、力の限りにその胸に抱え込まれた。
ぎゅっと抱きしめるその力からは、暁の慟哭が伝わってくるようで苦しくてたまらない。
そして、どうしようもなく切ない。

