半分どころか、私自身の殆どは死んでいたこの8年間に思いを馳せると、更に目の奥から熱いものがこみあげてきて止まらない。
呼吸をして、ただ心臓を動かしながら生活している事を生きているというのなら、私はちゃんと生きていたけれど、それはなんて乾ききった、殺伐とした時間なんだろう。
それでも、望みを捨てられなかった。
いつか暁に会えるかもしれないという微かな希望だけが、そんな殺伐とした日々の唯一の潤いだった。
今、目の前にいる暁を感じながら、長かった日々の苦しみが体中に溢れてくる。
嗚咽を漏らしながら、暁の胸に体を預けると、どんどん暁の着ているシャツが涙で濡れていく。
それでも自分ではコントロールできないくらいに感情は昂ぶって抑えられない。
「死にたいって、私も思ってたけど……私が死んだら、赤ちゃんが……私たちの赤ちゃんが、喜ばないって、そう思って……」
感情の昂ぶりに比例して、大きくなった私の声が、暁の体を硬直させた。
私を抱きしめてくれる暁の腕の力に悲しい強さが加わって、私をその胸に一層強く閉じ込めて。
「悪かった。伊織に悲しい思いをさせて、ごめん。
俺たちの赤ちゃんを……助けてやれなくて……ごめん」
体の奥から絞りだされるような暁の声が、私の涙をさらに溢れさせる。
このまま止まらないんじゃないかと不安になるほど、どんどん溢れる涙は、あの日からずっと我慢していた悲しみじゃないかと思うほどに止まらない。
暁に会えるまでは、と無意識に閉ざしていた悲しみという感情が次々に湧き出してくる。
私の心の奥に閉じ込められていた感情に支配されたこの長い年月が。
暁に再会した一瞬で、崩壊していくのを感じた。

