大丈夫と言ったのに、男の子は何故か困った顔をしている。




「あの、足・・・」


「え?・・・あ!!」





私は彼の定期入れを踏んでいた。


「ご、ごめんなさい!!」


手で軽く払って渡す。


「いや、こっちこそ・・・」





・・・なんか私たち、謝りまくり。
目があって、思わず笑ってしまった。
つられて彼も笑いだした。


早朝のガラガラな電車に、和やかな空気が流れていた。