「杏花、どうした?……大丈夫か?」


要が心配して声を掛けて来る。


「えっ……あっ、うん。大丈夫」


どうしよう……要が起きて来ちゃった。


カチャッ―――――


私はドアを開け、ニコッと微笑んで


何も無かったかのように誤魔化した。


けれど、私の顔色を窺って


「……大丈夫じゃなさそうだな」


小さく呟きながら心配そうに背中を擦る要。


彼には嘘は通用しない。


「……ごめん、起こして。少し張って来たみたい」


「歩けるか?」


「……うん」


痛みがある事を隠すのが精一杯。


要に支えられ寝室へと。


「出血はないんだけど、張りが気になって。もう少し様子を見ようと思うんだけど…」


「ん……朝になってまだ治まって無かったら、病院へ行こう」


要は一晩中、優しく抱きしめてくれた。