「杏花は…妻は、無事なんでしょうか?重い病気とかであれば、ハッキリとおっしゃって下さい」


俺はじっと医師を見据えた。


「今のところは命に別状は無いと思いますが、私は専門医ではありません。ここでは詳しい検査も出来ませんので…」


「検査…?」


「はい、奥様の今の状態からしますと、1日も早く詳しい検査と治療をすれば…」


「え?治療……治療をすれば助かるんですよね?」


「はい、恐らく。ですので、早い治療を…」


「はい!!」


「では、検査の手配をしておきますので、明日病院へ」


「はい!!有難うございました」


医師は村岡と共に寝室を後にした。


杏花……ごめんな。


気付いてやれなくて…。


どんな病気か分からないが、


治療さえすれば………。


俺がついてる……杏花。


俺はひんやりする杏花の頬を


優しくそっと撫でた。