「杏花様、私と来て頂きたい所がございます」


突然の村岡さんの言葉に固まった。


「えっ?…私?」


「はい」


「今?」


「はい」


「すぐに?」


「はい」


村岡さんは真剣な表情で…。


「分かりました。着替えますから少し待ってて下さい」


「申し訳ありません。ごゆっくり、ご用意下さいませ」


村岡さんが寝室を後にし、


私はベッドから出て、身支度を始めた。





「村岡さん」


「では、参りましょう」


「本宅ですか?」


「いいえ、違います」


「では、どこですか?」


「すぐにお分かりになりますよ…」





村岡さんの運転で、私は自宅を後にした。