「フッ、では遠慮なく貰って行く」
彼は躊躇なく手に取り、嘲笑した。
「……長居は無用だな」
そう言い残して、俺らに背を向け歩き出した。
その時――――――!!
「そこまでだ!!」
「ッ!!!おっ、おいっ!!」
店内にいる全ての人々で彼を取り押さえた。
スタッフと思っていた男性も
仲睦まじそうに食事をする男女も
友人同士で食事をする人々も。
―――――――そう、これは作戦。
昨夜、俺は修矢に事の成り行きを話し、
今日のこの救出劇の協力を依頼した。
勿論、即答で了承を得て、
会長の手配で腕の立つ人材を
予め、店に仕込んでおいた。
昨夜の俺らの作戦は、見事に功を奏した。
そして……、



