「なっ!?……沢田?」


「……いいから黙って」


「………」


何が何だか分からない。


急に大の男に抱きしめられるとは思いもしなくて、


俺はただただ、呆然としていた。


時間にして15秒?いや20秒くらいか?


沢田は急に話し始めた。


それも……。


「要、良く聞け。アイツは彼女に手を出したりするような奴じゃない」


「………」


口調がいつもの沢田では無い。


俺の事を“要”と呼ぶ沢田。


そう、10年近く昔の俺らの関係。


「“アイツ”じゃなくて“あの人”だ」


「………」


「いいか?アイツはお前の事を慕っている。だから、彼女は絶対無事だ」


「………」


「要の敵はあの人だ!!分かるな?」


「………ん」


沢田は腕を緩めて少し微笑んだ。