何処かへと向かう車内で必死に考える。


けれど、どう考えても私に出来る事なんて何もない。


一条の経営がどんな風になってるのかさえ知らないのに


ましてや自分の名義の不動産だってない。


私が所持している財産なんて


独身時代に貯めてた貯金と


要から貰った装飾品くらい。


ホントに私には何もないのに。


膝の上で手を握りしめ、


唇を噛みしめた、その瞬間。


車が急に停車した。


「杏花さん、悪いけど一旦、降りて貰おうか」


「………」


アイマスクを外され、廃ビルのような建物の中へ。


????!!!!


男に連れられてトイレへと。


えっ?!ココで何をするつもり?


私は急に恐怖を感じ、足がガクガクと震え始めた。


すると――――、


「はい」