「はい……頭痛は相変わらずあるようですが…」


「そうか……」


「あっ!!それと……」


「んッ!?何だ!?何か他に?」


「あの……最近、杏花様がレモンを欲しがっておいでで…」


「レモン?」


「はい。妊娠すると酸味のある物を欲しますし…」


「そ、そうか…」


「やはり、1度…病院へ行かれた方が宜しいかと…」


「この事は会長に…?」


「いえ、まだお伝えしておりません」


「助かる。まだ黙っててくれ…」


「……はい」


杏花がレモンを……。


やっぱり、妊娠してるんじゃ…。


それなら何故、病院へ行こうとしない?


もしかして、妊娠を受け入れられないとか?


いや……それは無い。


『早く欲しい』と言ってたくらいだ。




俺は今日もまた


不安で長い長い夜を明かした。