俺は杏花の吐気が治まるまで背中を擦り、
ぐったりしている杏花をベッドへ運んだ。
“大丈夫だから”と何度も口にする杏花。
これのどこが大丈夫なんだよ!?
俺はゆっくり休ませようと、部屋の明かりを消した。
蒸しタオルで顔や手足を拭いてやろうと、
キッチンでタオルを濡らし、
レンジで温め、寝室へ戻ると…
杏花は既にぐっすり寝ていた。
余程体調が悪いのだろう。
杏花の顔回りと手足を拭いて…。
俺は深夜にも関わらず村岡へ電話を掛けた。
『杏花の体調が悪いようだ。暫くの間、家事を頼む』
翌朝、依頼した通り…村岡は早朝からやって来た。
一晩経ったのにも関わらず、杏花の顔色は優れない。
やはり、まだ良くはなって無いようだ。
俺は心配になりながらも、
始動したばかりのプロジェクトに穴を開ける事が出来ず、
渋々、仕事へと向かった。
杏花の体調が回復する事を祈って……。



