杏花は再び作り笑いで誤魔化そうと…。


何をそんなに必死に隠そうとしている?


俺は不安になり、杏花を抱きしめた。


隠し事の出来ない杏花が俺に


必死になって隠そうとしているのは何なんだ?


不安で不安で堪らない。


先日の一件といい…


この先、何が起こるか分からないのに…。


俺はこの幸せが崩れかけてるような気がして、


杏花から寸分たりとも離れる事が出来ない。


俺の名を呼び、ほんの少し顔を上げた杏花の唇を


俺は不安を掻き消すかのように熱く求めた。


杏花との口づけは媚薬のようで


俺は無心に求め続けた。


この触れていられる時間が、


このまま永遠に続いて欲しいと……。


俺はいつものように、口づけを首筋へと這わせた


その瞬間――――――、


ビクッと身体を硬直させた杏花は、


「ごっ……ごめっ……」


杏花は俺を払いのけ、寝室を出て行った。