ん……熱は無いな。


すると――――、


何やら杏花がうなされている。


苦しそうに…何だか呼吸も浅い。


「……杏花?……杏花!?」


俺は心配になり、寝ている杏花に声を掛けた。


普段なら寝ている杏花を起こす事は無い。


最近、夜遅くまで仕事をしているし、


出来るだけゆっくりさせてやりたくて…。


けれど、今日の杏花は少し可笑しい。


杏花がうなされてるのを初めて見た。


俺は無意識に杏花の肩を軽く揺すって


「杏花?大丈夫か?」


「へ?」


杏花が寝ぼけ眼で俺を見た。


いや、寝ぼけているだけでは無さそうだ。


顔色が悪い。


杏花は笑って誤魔化しているが、やはり、具合は悪そうだ。


俺が優しく頭を撫でれば、“ご飯を作る”と言い出した。


“会食して来る”と話してあったのに…


やはり、今日の杏花は少し可笑しい。