「はい」
「おはよう……杏花さん」
やはり声の主は……あの人。
「朝から何の用ですか?」
「そんなに怒らないでよ」
「いい気分じゃないから」
私は牽制するかのように…
「カメラ……探すの?」
「当たり前でしょ!?仕事にならないわ」
「そう、怒らないでよ…」
「で、カメラはどこ?」
「教えて欲しい?」
「結構よ。業者に頼むから」
「フフッ、そう。好きにするといいよ」
「どういう意味?撤去してもムダって事?」
電話の向こうで嘲笑している。
焦りと不安と怒りと恐怖と…
気を落ち着かせようと深呼吸すると、
「昨日はカナ兄と良い所で具合が悪くなったみたいだったけど、大丈夫?」
「えっ?」
「カナ兄に抱いて貰えなくて残念だったね?」
「ッ!!!??」



