要と共に朝食を戴き、玄関で要のお見送り。
「杏花、具合が悪いなら仕事は休めよ?」
「え?うん…もう、大丈夫よ」
「それでも、あまりムリすんな?」
「………はい」
「じゃあ、行って来る」
「行ってらっしゃい」
要はおでこにキスをして仕事に出掛けた。
私は掃除洗濯を村岡さんに任せて、
いつもよりかなり早めに店へと向かった。
店に到着すると、まだ開店前の準備中で、
スタッフ達は忙しそうに動き回っていた。
私は声を掛けながらまっすぐ事務所へ。
昨日同様、部屋の中を見回す。
どこを見ても怪しく感じる。
中でも1番怪しいと思われる絵画に手を掛けた瞬間、
ピリリリリッ…ピリリリリッ…
鞄の中から携帯の着信音が。
私は深呼吸しながら携帯を手にした。
やはり、画面には“非通知”
私は意を決して通話ボタンを押した。



