暫くして吐き気も大分治まり、
要に抱えられ寝室に戻った。
要は心配そうに覗き込んで来る。
「要、私は大丈夫だから。少し休めば良くなるから…」
「あぁ……今日はもう休め」
「うん」
要がおでこにキスを落とし、部屋の明かりが落とされた。
ダウンライトの薄明かりの中、
部屋を出て行く要の背中をじっと見つめて。
……どうしよう。要に心配かけちゃった。
話したくても話せないし、どうしたらいいの?
その晩、闇に吸い込まれるように眠りについた。
翌朝、いつも通りにキッチンへ行くと村岡さんの姿が。
「おはようございます」
「お、おはようございます」
村岡さんは要に頼まれたようで、既に朝食の用意が済んでいた。
「お身体の具合は如何ですか?」
「え?あっ…はい。もう大丈夫です」
「杏花様のは消化の良い物をご用意致しました」
「………すみません」
何だか申し訳ない気持ちに…。
昨夜の私のあれが原因よね。



