心が安らぐ声がして、目を開けると…


「杏花?大丈夫か?」


「へ?」


目の前にスーツ姿の要が。


「要?」


「ん、具合でも悪いのか?」


「え?」


「顔色が悪いぞ?」


「そ、そう?大丈夫よ」


私は無理やり笑顔を作ってみせた。


要は優しく頭を撫でてくれている。


「あっ、ご飯!!すぐ、作るね?」


「えっ?あ、杏花!!今日は会食して来るって言ってあっただろ」


「え?そ、そうだっけ?エヘヘ……すっかり忘れてた」


必死に笑顔で誤魔化すと急に抱きしめられた。


「か、要?」


「それ、反則」


「えっ……んッ……」


ほんの少し顔を上げただけで、


いとも簡単に唇を奪われた。