「俺、気の強い女は嫌いじゃない」
「それはどうも」
どうして私の番号が分かったのかしら?
あまりの恐怖に手は震え、吐気を覚え始めた。
「で、私に何の用?」
「別に。今日のところは挨拶だけで退散するよ」
「………」
「また明日来るから良く考えて」
「………」
「それじゃあね……杏花さん」
「ッ!!?」
通話が切れた後、私は店内へ急いだ。
「どうかしましたか?オーナー…」
「えっ?あっ……ううん、何でも無い」
「そうですかぁ?」
店内を見回しても彼の姿は無かった。
そうだった……木村さんは……
下手したら、丸山さんだって……
彼の送り込んだ刺客かもしれない。
下手な事は口に出来ないし…。
「ホント……何でも無いの…」
私は苦笑しながら事務所へ戻った。



