事務所の中を見回してみるが、


疑い始めたらキリがない。


窓際に置かれている観葉植物は怪しいし


壁に飾られてる絵画も怪しい。


それに事務所には不向きの壁掛け時計も気になるし。


この部屋に居ることさえ気味悪く、


身体の震えが止まらない。



1歩も動けず眼だけが室内を泳ぎ回る。


その時―――――、


ピリリリリッ…ピリリリリッ…


突然、手にしている携帯が鳴り出した。


着信画面を確認すると“非通知”


このタイミングで非通知って……。


私は意を決して通話ボタンを押した。


「………はい」


「どう?気分は…」


声の主は紛れも無く“あの彼”


「どうって……最悪だわ」


「フッ……見かけによらず気が強いんだな」


「どういう意味?」