「そうですね。仕事の内容はともかく、杏花様とも面識がございますし。何より、社長の昔のお相手が取引先というのは、少し問題のように思えます」
「………だよな」
「ですが、きっと杏花様なら…真摯な態度でお話になれば分かって下さると思いますが…」
「……そうだな。俺の態度次第だな」
その後、自宅へ着くまでの間、今後の事を考えていた。
今でさえ、杏花に火の粉が降りかかっているのに
これ以上火に近づけさせない為にも。
今回の事は杏花に全て話そう。
話した上で、俺が危険から守ってやればいいんだ。
だが、守り切れるか?
いや、守り切れるか悩むんじゃなくて、
守るんだ!!………この俺が。
地下駐車場に車を駐車し、俺は沢田と別れて自宅へ。
玄関のドアに手を掛ける前に大きく深呼吸した。
「父さん、母さん………俺に力を……」
俺は覚悟を決め、ドアを開けた。



