「ん?」
彼女は何やら言い難そうに…
「他に何かあるのか?」
俺は再び座り直して聞き返した。
すると―――、
「実は……先日、奥さんの経営されてるカフェへ行ったんです」
「えっ?」
「あの人に“脅して来い”って言われて…」
「はっ!?……で、杏花は!?ウチの妻に何を?」
「私……結局、脅しきれなかった」
「………」
「別れさせるように言われたけど、1カ月近くあなたの奥さんを見ていたら…」
………1カ月!?
そんなにも前から狙われていたのか?
俺は不安に駆られ生唾を飲み込んだ。
「大企業の社長夫人とは思えないほど控えめで、だけど凛としていて女性としても輝いていた」
「………」
彼女は少し明るい表情になり…



