みんな、そうすることが当たり前だとでもいうように、リョウちゃんを火の中に送りこんだ。

僕には止める術は無い。

「たっくん、外いこ」

カズ君に促されて、僕は火葬場の外に出た。

外に出ると、カズ君が振り返り、空の方を見た。

そこには、ダラリと広がった青空に煙突が突き刺さっている。

カズ君がいつまでも見ているので、僕も黙って見ていると…。

煙突から煙りがのぼり始めた。

たまらなくなる。

リョウちゃんが青空へのぼっていく。

「リョウちゃーん!」

いつの間にか叫んでいた。

「おかあさーん!!」

どんなに情けなかっただろう?

どんなにみっともなかっただろう?

ただ、呼びたかったのだ。

呼べば満たされたのだ。

ぐにゃぐにゃに曲がった僕の体を、リョウちゃんの名前が満たしてくれたのだ。