「おはよう」

病室はいるとリョウちゃんは笑って言ってきた。

ホントに病気なの!?ってくらい、元気がいい。けど、これは薬が効いてるからだって、博士が言っていた。

博士は、口には出さないけど。「慎重にやれ」みたいなカンジで接してくる。

医者としてなのか、そういう考え方の人なのか、少しでも長い時間一緒にいられるようにあれこれ考える。

リョウちゃんはそのまったく逆だ。今だけを精一杯やってるカンジだ。だから博士とリョウちゃんはたまにケンカしてるみたいになる。

僕としてはどっちなんだろう?”今”の元気なリョウちゃんが”ずっと”このままでいてくれたらいいんだけれど・・・。

「タク!1冊たりてない!」

リョウちゃんはやめればいいのに、大きな声を出して咳き込んだ。どうやら頼まれてた雑誌を1冊忘れてしまったらしい。

おかしいな?確かに探して、買ったはずなのに。

そして思い出した。崩れた本を拾ったときのことを。あの時置き忘れてしまったのだ。

「明日また、買ってくるよ」リョウちゃんは怒ってたけど、僕はうれしかった。

そうまた明日。明日につながる会話。