「博士。博士の判断って?どういう判断だったの?」

博士は冷静な口調で話し出す。

「リョウコさんの希望とは若干異なることにはなりますが、延命の判断をしました。」あのまま手術を続けていれば、ただ藪から棒に体力を低下させるだけであったこと。そして確実に腫瘍を撤去できない限り単にこの先の生存確率を低下させるだけであること。よって今後の看護プランも考えてこれ手術の中止を決断したこと。博士は淡々と話てくれた。

「ごめんなさい。リョウコさんの希望はどんなに可能性が低くても全快の方法をとってほしいでしたよね?」

「うん、でも私の一番の希望は博士を信頼して博士にすべてを任せる。だったから」

「ありがとうございます、僕も最後はその言葉でこの判断をしました。」

「ところで。」一番重要な結論が先延ばしになっていることを私はうっかりでも忘れてはいけなかった。

「私の残りは?」なるべく軽く聞いたつもりだったが、口に出した瞬間に嗚咽が漏れた。「博士教えて?私に残された時間は後どれくらい?」

博士は、私の手を握ってくれた。

「もって2ヶ月、もしかしたらそれより早いかもしれません」