「うぁぁぁぁっっ…」




おっさんはまだ泣いている。



抑えられないくらい



苦しいんだろう





俺は…できるだけ優しく、こう言った。




「………つらっ…かった…ね」




男は涙でぐしゃぐしゃの戸惑いがちの顔を俺にむけた



大人の男がこんなに泣きじゃくるくらいだ。



いままでどうしようもなく辛かったんだろう。




助けてくれる人が……いなかったんだろう





「つら…かったんだね……悲し…かった…だね…」



俺は今にも倒れそうな体を支えて、続ける。



「苦しいよ…ね…今も…」






……きっとこの人は



俺の想像のつかないほど悲しい思いをしてきたんだろう。



それをずっと、一人で抱え込んできたんだろう。



そのせいで




その気持ちのやり場を失って



色々な人を傷つけてしまったんだろう。



そう…



少し…不器用なだけ



気持ちのぶつけ方を



少し、間違えただけ…




貴方は





他の人と




何ら変わりはないんだ





「大丈…夫。なにも寂しいことなんてないんだ……
なにも…怖いことなんて…っないん…だ…よ。」





そう言って微笑んだ瞬間。





俺の瞳から







一粒の涙がこぼれ





膝から崩れ落ちるようにして




俺の体は




なんの躊躇もなく







床に倒れた。








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…大丈夫




大丈夫だよ




泣くことなんてないんだ




間違えたなら




次気をつければいい



今までだってそうだったろう?




悪いことしたら



しかられて




泣きながら誤って




もうしませんって誓って




許してもらって…。




だってそれが人間だろう?




間違えない人なんていないんだよ。




だから俺は




君にこう言うよ。





「次からは気をつけなさい」



って




少しはにかみながら





笑って…さ。