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ーーーー…



……




あれから何度斬られただろう。




血が足りない。




体中がいたい。





目眩がする。



「……なんで、なんでのかないんだよ。」



男がそう言うのもわかる。




俺は




初めて斬られたときと変わらず





扉の前にたちつづけているから。






「なんで死なないんだよっ!!!!」



男は怒鳴る。



耳に響いてくる。





(俺がききたい…。)




足がふらつく。



痛い。




こんな苦しいだけの意識、手放してしまいたい。





でも、







死ぬわけにはいかない。





あと一度だけ








ほんの少しでもいい。





もう一度





もう一度だけでも





美桜に会いたい。





会いたい。




そんなちっぽけな願いのために




俺はいま立っている。




扉一枚先に




美桜はいるのに





こんな近くにいるのに。




すぐそばにいるのに。




耳をすませば




吐息だって




きこえるかもしれないほど






近くにいるのに。





会うのはこんなにも






難しいなんて。