「まぁいいや♪どうせすぐ他の子みたいに周り気にせず叫ぶようになるんだし?」



そう言ってその男は




刃物をもった手を大きく横に振った。




再び鋭い痛みが俺を襲う。



ビチャッ




「ん゛…ぐっ…!!!!」



俺は必死に声をこらえた。



痛くて痛くて




頭が働かない。




(声を出したら



誰かが来てくれるかもしれない





助けてくれるかもしれない






でもまず




真っ先に来るのはだれだ?





俺が普段こんな声を出さないって




誰より知ってるのはだれだ?





心配して……真っ先にくるのは…!)




残酷なことに



紛れもなく美桜だった。



小箱を強く握る。






でも今の俺には



来ないようにドアを押さえる力なんてない。




回らない頭を必死にまわらせる。



(考えろっ!!!!考えろ……っ!!!!)




考えても考えても




いい案なんてうかばない。



もしも




俺が声をあげて



美桜がきたら





もしも






美桜が





コイツに斬られたら。





もしも





そのせいで




美桜が






死んでしまったら。





痛い思いなんてさせたくない。





泣かせたくない。




傷つけたくない。




守りたい。





守りたい。






守りたい。







まもりたいっ…。







アイツをっ…








絶対に………!!!!!!!!