「………私は、」




ゆっくりと口を開く。




「後悔しているのは、私も同じです。」




末金さんは



バッと顔をあげて



驚いた顔で私を見つめた。





「あぁしていれば鏡夜は死んでいなかったかもしれない…とか

どうしてもっと優しくしなかったんだろう、とか」




「私は…後悔ばかりで、毎日病室で泣いてばかりでした。」



今でもないちゃいますけどね、と付け加え


私は続ける。



「でも、悲しいことばかりじゃなかった。
泣いていると、 嫌なことばかり思い出してしまうけど、決してそうじゃない。」



そうだ、悲しいことばかりなんかじゃなかった。







私は鏡夜にたくさん幸せをもらっていた。






鏡夜が笑うと私は幸せだった。






ちょっとすねた顔も可愛くて、ぎゅーってしたらまた照れて。





可愛いと思ったらかっこいいところもあって、




ケンカして泣いたときは、抱きしめてくれて、泣きやむまでまってくれていた。




親とケンカして「家に帰りたくないっ」って言ったときも、 




ちゃんと理由を聞いて、私が悪いときは目をみて諭してくれていた。




仲直りしたって鏡夜に報告したときは、




自分のことのように喜んで「よかったな」って言ってくれた。




鏡夜が嬉しそうだと私もうれしかった。




私が嬉しそうだと鏡夜も喜んでくれた。





鏡夜が、大好きだった。




すごくすごく好きだった。







隣にいるだけで幸せだった。




変なやりとりさえも愛しくて、








鏡夜のすべてが大好きで



あんなに近くにいたのに




側にいるのが当たり前だったのに





もう会えなくなるなんて、






自覚できるはずがなかったんだ。