私はゆっくりと



その人の前に腰を下ろす。




そして、率直にこう告げた。




「………鏡夜をやったのはあなたですか?」




その人は



悲しそうな顔で頷いた。



でも私は冷静だった。

 


殴りたいとも思わないし



泣きたいとも思わない。



ただ、真実が知りたかった。




「………名前うかがってもいいですか?」



「……末金です。」




「末金さんは私に伝えたいことがあったんですよね?」




「はい。どうしても。伝えたいことがあって…」



「………なんですか?」



私は冷静に質問する。




微笑みかけてやる義理なんてないから

もちろん無表情。




すると末金さんは



「すみません。その前にまず謝らせてください。」



そう言ってイスを降り



床で頭をこすりつけながら 



「本当に……申し訳ございませんでした……!」



そう言って




涙をながし




土下座した。




何度も何度も頭をさげて




「申し訳ございませんでした」




それを繰り返した。




もう……謝らなくていいのに


謝ったって鏡夜は帰ってこないし。



でも




そうするしかないんだろう。





取り返しのつかないことをしたら





謝ることしかできない。



どんなに謝ったって戻らないと知っていてもなお





悔いて






謝ることしかできないのだから。