私は呆然と立ち尽くしていた。 その赤いなにかは わたしの知っているものだった。 いや、人だった。 大切な大切な 大好きな人だった。 少し堅い胸も 真っ黒な、サラサラした髪も 私の大好きだったあの手も みんな みんな 赤く染まっていた。 「…………鏡夜…」