このお話は、ふた昔ほど前にある女性から聞いたものです。

正直なところ、その真偽の程は分かりません。

しかしながら、さもありなんと思えたので、皆さんにもお知らせしようと考えました。


山間の古びた田舎に、一人の老婆がおりました。

身寄りのない天涯孤独の身の上だったそうです。

いえいえ、十年程前までは娘夫婦と孫が二人の四人家族だったそうです。

そうです、覚えておいでのことと思います。

あの大地震で、甚大な被害を被ったらしいのです。

たまたま隣県での小学校の同窓会に出席中だった老婆だけが、その難を逃れたとか。

あ、別にその災害に関してのお話ではありません。

それはそれで哀しい出来事ではあります。

しかしある意味では、より哀しみを覚えるお話なのです。

前置きが長くなりました、では。