「うん、大きくなったらパパみたいなカッコイイ人のお嫁さんになってママみたいになるって言ってたよね」
「ヒック…う、うん。ママみたいになる」
「ならまずお嫁さんにならないと。お雛様を雛祭りが済んでも飾ってたらお嫁さ んに行くのが遅くなっちゃうよ」
「いくらでも遅くなれ」
恭介さんがボソッと呟いた。
はぁ~
恭介さんも世のお父さんと何ら変わりはないわ。
「パパ、ひなはおよめしゃんになるの」
陽菜が恭介さんを睨んで宣言してるし。
恭介さん…何も言えない。
「また来年飾るから…お雛様も寝させてあげようね」
「う、うん ヒック…」
やっと納得してくれた。
「おひなさま、とうみんするんだね」
「えっ?」
「おい涼、冬眠なんて言葉知ってんのか?」
「うん。おじいちゃんにおしえてもらったの。くまがとうみんするって」
「フッ そうだな。雛人形も冬眠だな」
「あ、ママ」
「なあに涼?」
「ぼくのきんたろうさんやこいのぼりもはやくかたづけるのは、ぼくがはやくお むこさんになるため?」
「えっ?…き、恭介さん」
「俺に振るなよ。…まぁ、もしかしたら…」
ほんとですか?
私が驚いたような顔をしたのか、私に目配せ。



