さて、晩飯か。
お袋が支度をしたと言ってたが。
「おばあちゃんがカレーをたいてくれたよ」
「わあ~カレーだ、ひなだいしゅき」
キッチンにはカレー鍋が二つ。
涼と陽菜用のと俺用か。
それと粥の鍋か。
冷蔵庫にはサラダ
…ん?
明日の弁当用の惣菜はないのか?
冷蔵庫の中を探してると
「パパ」
「ん?」
「ひなのあしたのおべんとうのおかずは ここだよ」
涼が紙袋を差し出す。
「ひとくちハンバーグときんぴらごぼうだって」
タッパーを確認して
「ん。陽菜、よかったな」
俺も助かった。
「パパ」
「ん?なんだ陽菜」
「あのね、おべんとうたまごやきはいってなかった」
「はぁ?卵焼き」
「うん。ひなのおべんとうにはたまごやきがはいってるの。だけどパパわすれた でしょ?あしたはいれてね」
「卵焼きか」
「うん」
涼が小声で
「パパできる?」
「当たり前だ。陽菜、明日はちゃんと卵 焼き入れてやるからな」
「うん。あ、ママ」
志織がキッチンに
「寝てなきゃ駄目だろ」
「そうだよ、ママ。ねてないと」
「ママ、ねんねして」
涼と陽菜がやいやいと
「もう大丈夫よ。恭介さん明日のお弁当は」
「ちゃんと作るからお前は心配すんな。 さ、もうあっちへ行け」
志織を布団に戻し
「さ、晩飯にするか」



