「志織ちゃん、大丈夫か?」
会社に着くなり誠が部屋に入って来た。
「早耳だな」
「お袋さんが瑞穂に電話をかけてきた」
「…そうか」
「涼と陽菜は大丈夫なのか?」
「……」
志織が大丈夫なのかと聞くのは分かる。
だけど涼と陽菜が大丈夫かって、どういう意味だ?
俺が不貞腐れたのか
「怒るな。で、陽菜の弁当」
「ちゃんと作った。朝飯も確り食わせた」
「ハハハ…そうか。あ、陽菜は瑞穂に迎えに行かそうか?」
「いや、いい。今日もそんなに急ぎはないし。その分、早く出るけど」
「あぁ、それは構わないが、晩飯は?」
「マジにお前、心配性だな。禿げるぞ」
「なんとでも言え。俺は志織ちゃんと涼と陽菜が心配なだけだ。お前はどうでも いい」
「フッ 相変わらず憎まれ口だな。ちゃんと食わせてるから大丈夫だ」
「なら、いい。精々頑張れ」
肩をポンっと叩いて出て行った。



