「パパ、えほん」
「はぁ?」
「パパ、ひなはまいにちママにえほんを よんでもらってるんだよ」
「そうか」
絵本の読み聞かせをしろってか。
「パパ」
「あ~分かった分かった」
二階に上がり涼は自分の部屋へ
陽菜の部屋に入り
「何を読むんだ?」
「えっとね、ももたろがいい」
『桃太郎』か。
絵本を取りだし
「さ、ベッドに入れ」
「うん」
横になった陽菜の枕元で読み始める。
…が、なかなか寝ない。
もう読み終わってんだが。
「陽菜、寝ないのか?」
「ママ…」
「ママは病気だからもう寝てるんだ。陽菜も寝ないと」
「パパ…いっしょにねんねしていい?」
「ん?」
「パパ」
俺の手を確りと握っている。
志織の病気がよっぽど堪えてるんだろう。
「じゃあ一緒に寝ような」
「うん」
陽菜を抱き上げて俺達の寝室へ
一緒にベッドに横になり
「おやすみ」
陽菜の額にキスをして
「おやしゅみなしゃい、パパ」
間もなく陽菜が寝た。
俺の手を握りしめたまま。



