旅館「しょうざん」に着いて


「涼、降りるよ」


「あい」


車から降ろし、恭介さんが抱こうとすると


「やー!りょうあゆく」


「歩くの?」


「ん。パパーペンもっちぇ」


恭介さんにペン太郎を渡す。


わ~ヤバい!


「涼、ママがペン太郎を持つから、パパには荷物を持ってもらおうね」


「ん じゃママーあい」


ペン太郎を押し付けられてるし。


「行くぞ」


「はい」


玄関を入り


「いらっしゃいませ」


「よ~藤倉」


「お~久しぶりだな」


「志織さん、いらっしゃい」


「お世話になります」


相変わらず女将の優子さんは綺麗だな。


「あら、涼ちゃん こんにちは」


私の後ろに隠れていた涼が顔を出し、ひざまづいて涼の目線に合わせてくれた優子さんにニコッと笑い


「こんにちは」


「偉いね~ちゃんと挨拶が出来るんだ」


チラッと恭介さんを見る。


恭介さんはご主人さんと話してるから気がつかない。


「くぅもこんにちはっちぇ」


「あ、はい、こんにちは。可愛いい熊さんね」


ますますニコ~と笑い


「ママーペンかちて」


「はいはい」


ペン太郎を渡すと


「ペンもこんにちは」


「あらあら、はい こんにちは」


「すみません」


涼に付き合わせちゃって申し訳ないです。