「寝たのか?」


「はい。二人くっついて寝ましたよ」


「なんだったんだろうな、あの喧嘩は。もう忘れてんのか」


恭介さんの横に座り


「私も涼も勘違いしてました」


「ん?」


グラスを口に運ぶ手が止まり


「二回目に陽菜が涼の部屋に入ったのは」


「あぁ、さすがの涼もキレた時か」


「あれ…邪魔をしに行ったんじゃなく涼に謝りにいったようなんです」


「ん?」


「陽菜が涼の絵をめちゃくちゃにしたから先生に叱られる。だから…」


「謝りにか」


グラスを口に運び


「いつも陽菜は私や恭介さんに叱られたら涼が慰めるのに自分のおやつや陽菜が欲しがる玩具をあげてたんです。だから自分も涼を慰める為に大事なビー玉をあげようと」


「ビー玉ってあの陽菜の宝物か」


「はい。それを渡す前に部屋から追い出されたから」


「フッ そうか。陽菜も成長してんだな」


「そうですね。でもそんな陽菜の気持ちに気づいてやれなかった私は成長してないですね」


「フッ」


そっと引き寄せ私の頭を恭介さんの肩に


「それは俺も同じだ」


「えっ?」