陽菜を車に乗せて


「ママ」


「うん?」


「おにいちゃん、まっててくれてるかなぁ」


「そうだね、きっと待ってるよ」


「おにいちゃん…ひなのことちらいっていわないかなぁ」


ちょっと寂しそうに。


「大丈夫だよ。お兄ちゃんも陽菜のことは好きなんだから」


「ほんと?」


「うん」


「あ~よかった」


ニコッと笑い…こんなに小さくても心を痛めてたのね。


――





藤倉の家に着いて


陽菜を降ろし


ピンポーン


ガチャッ!


「陽菜ちゃん、おかえり」


「おばあちゃん、たらいま。おにいちゃんは?」


「テレビを見てるわよ」


靴を脱ぎ先に奥へ


「陽菜ちゃん、大丈夫なの?」


「はい。朝から『お兄ちゃんお兄ちゃん』ばかりです」


「フフフ…兄妹ね。涼ちゃんも何かって言うと『陽菜』だから」


「フフフ…似た者同士ですから」


「そうね」


お母さんとリビングへ