「迎えに行かなくていいでしょうか?」
「大丈夫だろう。迎えに行ったら涼のプライドを傷つけることにもなりかねない」
「そんなもんなんですか?」
「あぁ。小さくても涼は男だからな」
男ってややこしいのね。
「明日、いつものように仕事終わりに迎えにいってやれ」
「えぇ。陽菜もお兄ちゃんを迎えに行くって」
「陽菜が?」
「陽菜は『お兄ちゃんが大好きなの』って」
「フッ そうか」
「はい」
「で志織は」
「えっ?」
何ですか?
「お前は俺が大好きか?」
「……」
私は陽菜ですか?
「ん?」
「今更何を聞くんですか?」
「聞きたい」
「じ、じゃあ私も聞きたいです」
「ん?」
「恭介さんは私が大好きですか?」
「言わなきゃ分からないのか?」
片眉が…って
聞きたいって言ったのは恭介さんですよ。
「……」
「お前が先に言ったら言ってやる」
やはり上から目線だ。
「…好きですよ恭介さんが。誰よりも」
「ん」
そっと引き寄せて
「恭介さんも言って下さい。約束ですよ」
「フッ」
耳元で
「愛してる…誰よりも」
「……」
わ、私、今たぶん真っ赤だよ。
恭介さんの唇は耳朶を噛んでいる。
「恭介さん…駄目です」
「どうして?愛したい」
「陽菜がベッドに寝てます」
「此処ならいいだろ」
此処ならって…リビングだよ。
「志織…待てない」
「えっ?ち、ちょっと…ゥン」
唇が重なり
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