ピンポーン
「あ、おにいちゃんかな」
陽菜が玄関に走る。
ガチャッ!
ドアが開いて入って来たのは
「パパ」
「ただいま陽菜」
陽菜は『おかえり』も言わず恭介さんの後ろを見ていた。
「陽菜、どうしたんだ?」
「パパ、おにいちゃんは?」
「ん?」
恭介さんが私の顔を見て
「涼はお祖父ちゃんとこに泊まるんだ」
「かえってこにゃいの?」
「あ、あぁ」
リビングに行き陽菜を降ろし
「着替えて来るからな。陽菜、一緒に風呂に入るか?今日は涼がいないからパパと二人で入れるぞ」
恭介さん、その言い方はどうなんですか?
陽菜は泣きそうな顔をして
「ひなはママとはいるの」
私に抱き着いた。
「フッ 陽菜にふられた」
――
―
晩ご飯の時も陽菜は元気がなくいつもより食べる量が少なかった。
よっぽど涼のことが気になるのよね。
だけど頑固だから言わないし。
ほんとに恭介さんに似ているわ。



