陽菜が小雪さんの手を取り
「こゆきおねえちゃん、あいがと」
フフフ…私の真似してる。
「陽菜ちゃん、フフフ…どういたしまして」
「社長はん、これからどうしはるんどすか?」
小冨さんが恭介さんに聞いている。
「あぁ、これから昼飯食って新幹線だ」
「今日、帰らはるんどすか?」
「あぁ」
涼と陽菜が寂しそうに。
陽菜は小雪さんの手を確り握ってるし。
小雪さんが陽菜に優しく笑いかけ
「お昼一緒に如何どす?」
「えっ?」
いや、だって三人さんは正装だし
「小冨達はこれからお座敷じゃないのか?」
「お座敷は夕方からどすねん。巡行やさかいにって美作さんの撮影協力の為に正装してるんどす。お昼言うてもうちの置屋(オキヤ)どっさかい気をつかわんといとおくれやす。ほんまはお母さんにお連れするように言われてるんどす」
お母さん?
小冨さんの?
「うちらの住んでる所が置屋言いますねん。そこの女将を『お母さん』って」
小雪さんが教えてくれた。
「どうぞ、来とくれやす」
涼と陽菜はキラキラ目を輝かせて私達を見てる。



