「おはよう」
涼が起きた。
「おにいちゃん、おはよ」
「涼 おはよう」
さっさと着替えを済ませ、また窓から駅を見てる。
よっぽど電車が見られるのがいいのね。
「ママ、パパまだねんねちてるね」
「そうね」
もう7時半近いから起こそうかしら。
「ママ」
「うん?」
「ひなね、おなかがペコリなの」
「そうね。じゃあパパを起こすわね」
「ひながおこしゅ」
「陽菜が起こしてくれるの?ありがとう」
助かった。
私が起こしたらまたご機嫌が悪くなるから。
陽菜がベッドに上がって
「パパ」
「……」
反対側を向いた。
「パパ、おきて。あしゃだよ。ごはんたべるよ」
恭介さんの腕を引っ張ってる。
「ひな、それじゃパパおきないよ」
涼が陽菜の耳に何やら言ってる。
「うん」
陽菜は頷いて
「パパ」
「わ、わぁ!」
恭介さんが飛び起きた。
涼の必殺技を教えたのね。
名付けて「鼻摘み作戦」
「ひ、陽菜」
「おはよ、パパ」
ニコニコ笑って恭介さんにしがみついてる。
「パパの鼻を摘まんだな」
恭介さんが陽菜の鼻を摘まんで
「パパ…や、やめて~キャハハハ」
「パパの鼻を摘まんだ仕返しだ」
「キャハハハ…だ、だっておにいちゃんが」
「ん?…涼」
「ヘヘヘヘ…」
逃げようとする涼を捕まえて
「パ、パパ…や、やだ」
涼の鼻を摘まんでる。
何をしてんだか。
「三人共、朝ご飯に行くわよ」
「は~い。パパ、ひなおなかペコリだからはやく」
陽菜に言われてやっと恭介さんも着替えを始めた。
もう、ホントに大変なんだから。



