「嫌いになんかならないさ。パパもママも涼がどんなに怒っても言うことを聞かなくても好きだから。涼のことをパパもママもたまには怒るけど、それは涼が嫌いになったから怒る訳じゃないんだ。涼のことが大好きだから涼にいい子になってもらいたいから怒るんだ。それにな」


「うん?」


「パパもママも涼を怒るけどな、怒るとパパとママの此処が痛くなるんだ。涼が泣いても怒っても痛くなる。涼だってママが泣いたり悲しい顔したら此処が痛くならないか?」


「…う~ん、なる」


「だろ。それは涼がパパとママが好きだからだろ。パパやママも一緒なんだ」


「うん」


噛み砕くように話してる。


恭介さんの言うことが涼に全て理解出来るとは思わないけど私達が涼を大好きだと言うことは理解出来てるみたい。


「涼」


「うん?」


「イライラ虫が暴れて怒りたい時はな」


「うん」


「熊五郎とペン太郎と相撲を取れ」


「えっ?」


えっ?熊五郎とペン太郎と相撲を?


「あぁ。パパがいる時はパパと相撲でもプロレスでもしてやる。だけどママや友達とは駄目だ。だからその時は熊五郎とペン太郎とやれ。な」


「う、うん。分かった。くうとペンとやる」


「ん。やった後で熊五郎とペン太郎を抱っこしてやれな。『ありがとう』って」


「えっ?」


「熊五郎とペン太郎は涼に何にも出来ないだろう?何にも言わずに投げ飛ばされるんだから『ありがとう』だな」


「うん。りょう『ありがと』いう」


「ん。涼はいい子だ」


「パパ」