「じゃあ…ママのお腹にいる赤ん坊にか?」
「ちがうよ。なんであかちゃんにおこらなきゃいけないの?あかちゃん、なんにもわるいことしてないよ」
ほぅ~ 一安心
「そうだな。じゃあ誰に怒ってるんだ涼は」
「だれにもおこってないもん」
「ん?」
「なんかね、りょうにもわかんないの。なんか…このへんになんかがいておこってんの。りょうはね、おこりたくないの」
此処からでは涼の様子は見えない。
ただ恭介さんと涼の声だけが聞こえるだけで。
だけど…私は出て行かない方がいい。
恭介さんに任せる方が。
「そっか。ここにイライラ虫がいるのか」
「イライラむし?パパ、りょうのここにイライラむしがいるの?」
「あぁ。だけど涼だけにいるんじゃないぞ」
「えっ?」
「パパのここにもママのここにもイライラ虫はいるんだ」
「パパやママにも」
「あぁ。みんなのここにもいるんだ」
「みんなの…じゃあ おじいちゃんやおばあちゃんにも?」
「ん」
「おじちゃんやおばちゃんにも?」
「あぁ」
「へぇ~そうなんだ。りょうしらなかった」
ママも知らなかったわ、イライラ虫なんて。
フフフ…
上手に名付けたもんね。



