それから二日後
昼飯から帰って来たらリフレッシュコーナーに高藤さんが一人でいた。
「こんにちは」
「あら、森山君 こんにちは。お昼は済んだの?」
「はい」
「コーヒー飲む?」
俺が返事をする前にこの間のコーヒーを買って
「どうぞ」
「ありがとうございます」
俺の好みを覚えてくれてたんだ。
やっぱり俺に好意を持ってくれてるのかも。
今がチャンスかも知れない。
お茶に、いや飯に誘おう。
「あ、あの高藤さん」
「はい?」
「今度」
「志織、まだ油売ってんのか」
「恭介さん」
へっ?
し、社長!!
な、何で?
そ、それも『志織』って…
いや、それより高藤さんが『恭介さん』って名前で…
「ジュース買いに行くつってどんだけ掛かってんだよ」
「恭介さん…森山君が驚いてます」
「ん?森山」
社長が俺に視線を!
ひぇ~めっちゃ冷たい視線
「何処の部署だ?」
「え、営業です」
「今年の新人だな」
「はい」
「新人がいつまで油を売ってる?先輩より先に戻って仕事に係るのが新人の務めだろ」
「は、はい」
「恭介さん、あんまり脅さないで下さい。森山君ごめんね」
「……」
「お前が何で謝る」
「恭介さん!」
「チッ!分かった。戻るぞ、来い」
「…じゃあね森山君、気にしないでね」
「志織」
「はい」
高藤さんの腕を引っ張って連れて行った。
最後に俺に視線を向けて。



