明くる日


昼飯を終えて戻って来たら


「森山、悪いんだけど此れを社長室に届けてくれるか?」


まだみんな戻ってないのか。


「はい」


社長室なんて初めてだから緊張する。


何たってあの怖い社長だぜ。


「あ、秘書殿に渡してくれたらいいから。社長じゃビビるだろ」


「あ、はい」


助かった。



コンコン!


「はい」


ガチャッ!


「失礼します」


えっ?


ドアを開けた其処にいたのは!


高藤さん!


「あら森山君」


「……」


「森山君?」


あっ!


「書類を預かって来ました」


「ありがとう。ご苦労様です」


俺から書類を受け取り


「あの、森山君?どうかした」


あっ!


俺としたことが突っ立たままだ。


「じ、じゃあ失礼します」


「はい」


ニコッと笑って見送ってくれた。


――





高藤さんって社長秘書だったんだ。


あの厳しい社長に仕えてるんだから優秀なんだな。


社長秘書だからあまり見掛けないわけなんだ。


俺には高嶺の花だな。


い、いやだけど全くチャンスがないわけじゃない。


缶コーヒー奢って貰ったお礼にお茶くらい誘っても可笑しくないよな、うん。可笑しくない。


だけど次はいつ会える?


――





そのチャンスは案外早くきた。