「じゃあ行こうか?」


「はい」


――





結婚して五年


此処に住んでたんだな。


初めは恭介さんが一人で住んでた家だからあまり生活感もなく、ただ高級なマンションで私には場違いな感じもしたけど結婚してだんだん荷物も増えて…そして涼が産まれ此処で子育てして、泣いて笑って怒って…色んなことがあったな。


何だか寂しいな。


「志織」


「ママ」


「あっ、うん」


マンションに鍵を掛けて


新居へ


新しい家は恭介さんの実家にも近いし安心


歩いても10分くらいだし。


何たって共稼ぎだから涼がいずれ小学校に上がった時に鍵っ子にはしたくないと考えていて…でも仕事は辞められないしと思っていたら恭介さんの実家に近い所に土地が売り出されて、いつかは一軒家をと考えていたから即買って建てた。


でもこの時期でよかったわ。


今ならまだ動けるし。