「恭介さん、お風呂どうぞ」
「涼、三人で入るか?」
「うん」
ち、ちょっと!
「ママ、入ろ」
私の手を握って
「ククク…諦めろ」
恭介さん…
耳元で声を潜めて
「結婚記念日だからな」
……
…
そんな理由ありですか?
「ママ」
「あ、う、うん」
仕方ないか。
三人でお風呂場へ
そういや此処のお風呂は恭介さんと入ってないな。
はしゃいでる涼を何とか捕まえ洗う。
バスタブに入れて…持って来たアヒルで遊んでる。
恭介さんも私も洗いバスタブへ
「ママ、アヒルちゃんしよ」
またですか~
「ママ」
「志織、してやれ」
もう!
恭介さんを睨んでアヒルちゃんを手に取った。
「アヒルちゃん、こんにちは」
「アヒル君、こんばんは」
「きょうはね、みんなでうみにきたんだよ」
「よかったね」
「アヒルちゃん」
「なあに?」
「ないしょだけどね、きょうね、ママがないたんだよ。おとななのにおかしいね」
「……」
「ククク…」
内緒じゃないじゃないの。
「アヒルちゃんはなんかないしょある?」
内緒、内緒ねぇ…
「あるよ」
「なあに?」
「内緒だから言えないの」
「えっぇぇぇないしょにするからおしえて」
「でもパパに聞こえるよ」
涼が恭介さんを振り返って
「パパもないしょね。だれにもないしょね」
「ん、分かった。内緒な」
どこが内緒なのよ。



