夕御飯を食べ終わり
「まめまきしよう」
「そうだね」
桝に豆を入れて
「じゃあ涼撒いて」
涼がキョロキョロして
「鬼がいないよ」
やっぱり!
涼が自分の部屋に行き鬼のお面を取って来て
「はい、パパ」
「ん?」
鬼のお面を受け取り
「何だ?」
「パパ、おにやって。ほいくえんでえんちょうせんせいがおにしてくれたけどいまえんちょうせんせいいないから。ね」
「…俺が…鬼か」
「うん」
涼がニコニコ、恭介さんはしかめっ面
「フフフ…」
思わず笑ったら…睨まれた。
「はやくパパ」
涼は期待を込めた目で
「はぁ~仕方ねえな」
しぶしぶお面を被り
「涼、始めろ」
「うん」
豆を掴み
「おにはそと」
恭介さんにぶつけた。
「痛てっ!」
「おにはそと~」
また豆を
「マジに痛いって」
恭介さんが逃げ回り
「おにはそと~」
追っかけ回しながらぶつけてる。
「涼、福は内は」
「あ、うん」
恭介さんの逆の方へ
「ふくはうち~」
――
―
「涼、もう降参。参りました」
「涼、もう鬼さんを許してあげようね」
「うん。あ~おもしろかった」
お面を外して
「疲れた」
「フフフ…ご苦労様。はい、お茶と豆」
「ん」
「ママ、まめたべるの?りょうのすくないよ」
膨れてる。
「フフフ…これはね、年の数だけ食べるの。だから涼は三つなの」
数え年の数だけ食べるからね。
「ふ~ん。つまんないねぇ」
あっという間に食べた。
「涼、パパのちょっと食べてくれるか」
「うん」
恭介さんに分けてもらい嬉しそうに食べてる。
よく食べる子だわ。



