保育園に着いて


「おはよう」


「あ、先輩、おはようございます」


水野先輩が保育園の門前で待っててくれていた。


「早苗ちゃん おはよう」


「おはよう おばちゃん。りょうちゃん おはよう」


私の腕から手を伸ばしてニコニコ笑い



「ち、ちゃ~ちゃ~」


本人は『早苗ちゃん』と言ってるつもり。



保育園に入り


「はい涼君、今日からよろしくね」


園長先生と担任の先生にお出迎えされて、ニコニコ笑ってるけど…


「じゃあお預かりしますね」


「はい、宜しくお願いします」


私がよほど情けない顔をしてるのか


「お母さん大丈夫ですからね。しっかりお仕事して下さい。それが涼君の為ですよ」


「は、はい」


涼を担任の先生に渡し


「マ、マーマーマーマーゥゥェェ~ン」


私の方へ手を伸ばしてくる。


「涼…」


「お母さん、行って下さい」


「高藤さん、行きましょう。大丈夫だから」


「りょうちゃん、なかないでね」


早苗ちゃんが涼の頭を撫でてくれてる。


「宜しくお願いします」


後ろ髪を引かれる思いで保育園を出る。


「マーマーマーマーゥゥウワァァァ~ン」


大号泣してる。


何か私まで泣きそう。


車の前で


「誰でも初めはそうなのよ。早苗も大泣きだったんだから。だけど迎えに行ったらケロッとして遊んでたわ。涼君もだから大丈夫よ。涼君は人懐っこいから」


「はい、ありがとうございます」


「さ、会社へ行きましょう。気をつけて運転するのよ」


「はい」


お互いの車に乗り発進させる。


あ~本当に先輩がいてくれてよかった。


私一人だったら引き返して涼を連れて帰ってるとこだわ。